供給不足も、住宅価格は地域毎にバラつきあり

現在、住宅を保有している人は2021年~2022年初頭の低金利時代に住宅ローンを組んだ人が殆どであるため、今の高金利下で住宅を手放すことを避ける傾向にあり、市場に売りに出される新規住宅戸数(新規リスティング)は極めて少ない状況(=供給不足)にあります。そのため、米国のほぼすべての地域では販売が抑制されている状況です。

 

【詳細は過去の記事をご参照ください】住宅需要が2022年5月以来の最高水準に!

 

そんな中でも、住宅価格が急落している地域もあれば、逆に上昇している地域もあります。
住宅価格は、米国で最も人口の多い50の大都市圏の半分以上(28都市)で下落し、テキサス州オースティンで最大の下落(前年比-15.2%)を記録しました。次にカリフォルニア州北部の4都市圏、サンノゼ(-12.9%)、サンフランシスコ(-11.7%)、サクラメント(-11.4%)、オークランド(-10.8%)が続きます。オースティンとサクラメントにおいては少なくとも2015年以来の最大の年間下落幅を記録しました。
反対に、ウィスコンシン州ミルウォーキーで価格が最も上昇し(前年比+14.1%)、バージニア州バージニアビーチ(+6.9%)、フロリダ州ウェストパームビーチ(+6.7%)、ロードアイランド州プロビデンス(+6.4%)となりました。
全米レベルでは、米国の住宅販売価格の中央値は前年比1.8%下落して360,500ドルとなり、10年以上も上昇を続けた住宅価格は、6週連続で下落することとなりました。
Redfin社によると、現在の住宅市場は非常に難しく、売り手と買い手のニーズをマッチさせるのに一苦労しているそうです。同社のエージェントは次のように述べています。
「米国のほぼどこでも当てはまることの一つは、魅力的で手ごろな価格の販売用住宅を見つけるのは非常に難しく、探している地域によってオファーと交渉のやり方(戦略)が異なるのです。」
このように、不動産エージェントにとって難しい環境下ではあるものの、住宅のほぼ半数が2週間以内には契約が締結されており、これは2022年6月以来となる最速の早さとなります。

 

以上のように、米国住宅市場は需要と供給のアンバランスがもたらす先行き不透明感はあるものの、政策金利の上昇余地が狭まっていることも追い風となり、住宅市場は徐々に回復しつつあると考えられます。