ホーム・エクイティは歴史的に高い水準を維持

<ホーム・エクイティは減少するも歴史的低水準>
ブラック・ナイト社が発表した米国住宅ローン・モニター・レポートによると 、全米で住宅価格の調整下落が続く中、そのペースは過去2か月に比べて緩やかですが、2022年第2四半期にピークを迎えた住宅所有者のホーム・エクイティは、2022年第3四半期に記録的なレベルの収縮を見せました。

※ブラック・ナイト(Black Knight Inc)は、米国の住宅ローン及び不動産市場向けに、ミッションクリティカルなソフトウェアソリューション、データ及び分析を統合的に提供するプロバイダー。

わずか3ヵ月の間に、米国の住宅ローン保有者が新たに取得したエクイティの合計1.3兆ドルが蒸発しました。これは、金額ベースでは過去最大、比率ベースでは2009年以降の四半期で最大の減少となりました。

住宅所有者のホームエクイティは2022年第2四半期に過去最高を記録したものの、5月半ばにピークを迎え、それ以降は減少傾向にあります。住宅ローンがあるホーム・エクイティは、ピーク時から約15億ドルも減少しました。

ホーム・エクイティの減少に伴い、アンダーウォーター(住宅ローン残高が住宅評価額を上回っている状態)の債務者の数がすでに2倍以上の27万5千人になったとはいえ、依然その数は50万人にも満たないことからも、歴史的に見て極めて低い水準なのです。

また、アンダーウォーターに陥るリスクのある住宅の大半は、2022年から2021年後半にかけてパンデミック時のピーク価格かそれに近い価格で購入された住宅です。米国の約5,300万人の住宅ローン保有者のうち、アンダーウォーターもしくは自己資本が10%未満であるのはわずか3.6%、つまりパンデミック期に比べ約半分の割合にとどまっているのです。
住宅ローン残高のさらなる減少が予想されるものの、住宅所有者の地位は依然として広く強固なものです。住宅ローンの保有者全体のエクイティは、パンデミック前の水準を5兆ドル(46%増)上回っており、それ以降の期間に借り手一人当たり平均9万2000ドル以上増加したことになります。もちろん、これは金利の上昇とともに、エクイティ貸付にさらなる逆風をもたらし、デフォルトリスクを高める可能性があります。

<住宅価格>
2022年7月以降、住宅価格は3ヵ月連続の減少となりました。全体として、住宅価格は6月以降2.6%下落し、30年物金利が2018年後半に5%近くまで急騰して以来、3カ月ぶりに下落し、2009年初頭以来最悪の3カ月連続となりました。

<ネガティブ・エクイティは歴史的低水準>
アンダーウォーターの住宅所有者数は過去4ヶ月で27万5千人近く増加し、人口の2倍以上となっていますが、現在全国でアンダーウォーターにある住宅は50万戸以下となっています。前述の通り、全国でアンダーウォーターもしくは自己資本が10% 未満の債務者は3.6% で、パンデミック前の約半分です。そして、アンダーウォーターに陥るリスクのある住宅の大半は、2022年と2021年後半にパンデミック時代のピーク時またはその近辺で購入されたものなのです。


<利息対所得比率は1980年以降で最低水準>
30年物金利が7%に迫る中、平均的な価格の住宅購入で元利払い(P&I)を行うには、世帯収入の中央値の約39%が必要で、その割合は1984年以来最も高く、長期平均の25%弱を大きく上回っています。前回これほど値ごろ感があったときは、30年物金利は13%以上であり、今日のほぼ2倍でした。
住宅価格が2022年6月のピークから引き下げられ、現在では昨年の同時期から38%減少しているにもかかわらず、購買力は金利上昇によってさらに14%削減されています。
20%の頭金で購入した平均的な住宅の毎月の損保支払額は937ドル増加しており、1970年代半ばまで遡って、年間で最も急激な上昇を記録しているのです。

<住宅ローン延滞件数は最低水準>
9月の全米延滞率は1BP低下して2.78%となり、今年5月に記録した最低水準からわずか3BPSの低下となりました。
2000年から2005年の8月から9月の平均変動幅は27BPSの増加であり、当月の減少は典型的な季節的傾向に反しています。