アメリカの代表的な2つの住宅価格指数とは?

アメリカには以下の2つの代表的な住宅価格指数が挙げられます。

  1. S&P ケース・シラー住宅価格指数
  2. FHFA(連邦住宅金融局)住宅価格指数

1.S&P ケース・シラー住宅価格指数
S&P (Standard & Poor’s)社が発表する指数のこと。この指数の計算方法を開発したカール・ケース氏とノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー氏からその名前が付けられました。計算方法はリピートセール法と呼ばれる、新築住宅は除外され、最低2回販売された中古物件のデータを用いて、値上がりや値下がりなど実際の価格変化を捉えることに長けている計算方法です。
同指数の特徴は、アメリカの主要10および20都市の1戸建て住宅価格指数(3ヵ月平均値)が毎月最終火曜日に2か月遅れで発表されることです。10月の指数で例えると、8月・9月・10月の3ヵ月平均となります。

2.FHFA(連邦住宅金融局)住宅価格指数
米国連邦住宅金融局(Federal Housing Finance Agency)が、毎月下旬に2か月遅れで発表する住宅価格指数のこと。同指数の特徴は、リピートセール法を用いて計算され、住宅ローンの政府系金融機関である、ファニーメイとフレディマックから住宅論を受けた、もしくは保証された1戸建て住宅価格が対象となっていることです。

 

両指数はどのように違うのでしょうか?

両者の共通点はリピートセール法を用いて毎月2か月遅れで発表されることですが、以下の異なる点があります。

S&P ケース・シラー住宅価格指数は、主要10及び20都市の住宅価格指数を発表するのに対して、FHFAは多くの小中規模の都市を含めた住宅価格指数を発表します。

S&P ケース・シラー住宅価格指数は、各都市の記録と査定者からの住宅価格情報を使用し、高額物件を対象にしたジャンボローンや、信用度の低い人を対象としたサブプライムローンなどのあらゆる住宅ローンを利用した物件の価格を含むのに対して、FHFAはファニーメイとフレディマックが提供する一般住宅ローンの情報を使用するため、融資限度が低い優良住宅ローンのデータのみが含まれています。

S&P ケース・シラー住宅価格指数は、住宅価格伸び率算出の際に個別の住宅価格で加重平均するのに対して、FHFAは全物件の平均で算出します。そのため、S&P ケース・シラー住宅価格指数の方が高額な物件の影響を大きく受けることとなります。

 

どちらの住宅価格指数がより正しい・間違っているということではなく、両者のデータを見比べて住宅市場動向を判断することが望ましいと考えられます。