売り手市場から買い手市場へ逆転か
住宅の売り手は、家を購入する買い手のコストを削減することを目的とした譲歩を提供するケースが、2022年第4四半期の住宅販売の42%(前年は31%)を占めました。これは、2020年7月以降、四半期で最大の割合となります。
特に、フェニックス(アリゾナ州)やラスベガス(カリフォルニア州)を含むコロナ・パンデミックで住宅ブームが最も過熱していたエリアが最も高くなっています。
売り手からの譲歩とは主に、家の修理費用、住宅ローン金利のバイダウンのことを指しますが、売り手による住宅価格の値引きは含まれていません。
売り手による譲歩が増加した背景には、2022年における住宅ローン金利の上昇、インフレ、経済の不確実性が住宅購入需要を弱めた結果、2021年までの売り手市場から買い手市場に逆転したことが挙げられます。
それはつまり、2021年までは歴史的な低金利が激しい競争に拍車をかけ、ほとんどの買い手は売り手からオファーを貰うだけのために提示価格を上回って入札していたため、売り手からすれば勝手に高額で住宅が売れるという状況でした。
しかし現在は、どうしても家を手放さなければならない売り手においては、市場に残っている僅かな買い手に住宅を購入してもらうために前述のような譲歩が増加しているのです。
買い手にとっては、売り手が2021年の住宅ブームで多くの資産を築き上げ、かなりの譲歩をする余裕があることを把握しているため、強気の交渉を行うことができると考えられます。
フェニックス(アリゾナ州)の不動産業者は次のように述べています。
「最近、あるバイヤーが新しい屋根とその他の修理のために1万ドルの譲歩を交渉するのを手伝いました。当初、買い手は1.5万ドルを要求しましたが、売り手が住宅価格の値引きに同意してくれたので、最終的に1万ドルの譲歩で落ち着きました。」
フェニックスでは2022年第4四半期における住宅販売の62.9%で売り手による譲歩が行われ、2021年の33.2%から大幅に増加しました。この29.7%の増加は米国大都市圏の中で最大であり、次にシアトル(25.6%)、ラスベガス(22.2%)、サンディエゴ(20.7%)、デトロイト(20.4%)となります。
ちなみに、サンディエゴでは最も一般的で、2021年第4四半期の住宅販売の73%で譲歩が行われ、これは全米で最高シェアとなります。
一方、2021年に比べて譲歩が減少した大都市圏はオースティン(テキサス州)で、住宅販売の33.3%(前年比-4.8%)でした。次にフィラデルフィア(-2.7%)、ニューヨーク(-2.4%)、シカゴ(-1.6%)となります。