現金一括買いの割合は2014年以来の最高水準に!

昨今の住宅ローン金利の高騰に伴い、全額現金で住宅を購入する人が増加しています。
下のグラフはRedfin社の統計ですが、10月には米国の住宅購入者の約3分の1(31.9%)が全額現金で住宅を購入しました。これは前年同月比の29.9%から増加し、2014年以来の最高水準となります。

※このデータは2011年から直近2022年10月までの米国で最も人口の多い39の大都市圏を参照したものです。全額現金とは、証書に住宅ローンの情報が記載されていないものを指しています。

 

2020年4月に過去最低水準である20.1%を付けた後、住宅価格の下落に伴って2021年初頭に全額現金で購入された住宅の割合が急上昇し、現在は高止まりしている状況です。
2021年の住宅ブームと現在とでは、買い手が現金で住宅を購入するインセンティブにどのような違いがあるのでしょうか?
今日の裕福な住宅購入者は、住宅ローン金利の急上昇により、ローンとそれに伴う毎月の高い利息の支払いを回避したいというバイアスが非常に強く、現金で支払うことに意欲的なのです。
しかも、住宅ローン金利はここ数週間で低下しましたが、依然として6%を超えているため、この流れは当面続くものと考えられます。
一方、2021年パンデミックの住宅ブーム時は、低金利であったため多くの人が住宅購入に殺到したことで競争が激化しました。そのため、資金的に余裕がある買い手は、売り手に対して全額現金で支払うことができることを交渉材料にして、希望する住宅を購入していました。

 

フロリダは全米の中でも最も全額現金で住宅を購入する割合が高い地域です。
10月の住宅販売のうち、ジャクソンビルでは約半数である49.7%が全額現金で支払われました。
続いて、ウェストパーム・ビーチ(48.6%)、クリーブランド(47%)、シンシナティ(43.9%)、アトランタ(41.3%)。
これは、フロリダには多くの富裕層が住んでいることに加え、クリーブランドやシンシナティは住宅価格が他の地域と比べて手ごろな価格で販売されていることに起因しています。

 

一方、住宅価格が高騰している西海岸(ベイエリア)では、現金購入のシェアが全米でも最も低いエリアとなっています。
サンノゼ(14.3%)、オークランド(16.5%)、シアトル(19%)、ロサンゼルス(19.2%)、ニューアーク(20%)。
2022年以前はテック株で財を成した人が多かったため全米でも人気があり、現金での購入比率が高いエリアでした。
しかし現在では、テック株が低迷し、住宅価格についてもサンノゼでは100万ドルをはるかに超え、オークランド、シアトル、ロサンゼルスでも100万ドル近くまで住宅価格が高騰しているため、全額現金で住宅を購入するのが難しいエリアとなっています。

 

最後の表は米国メトロ別、住宅の購入手段のシェアを示したものです。
※全額現金(2022年10月)のシェアが高い順
※平均値以下を赤ハイライト
上述の通り、西海岸カリフォルニア州における現金比率が低く、殆どが住宅ローンを活用していることが伺えます。

出所:Redfin